中小企業の新卒採用方法|学校訪問を軸に成功させる手法の組み合わせ方

中小企業の新卒採用方法|学校訪問を主軸に置く・地元合説とリファラルを併用・3年計画で学校との関係を育成
PR

本記事は特定の事業者の取材協力のもと制作しています。掲載情報の比較・評価は著者の独自判断によるものであり、掲載料が記事内容に影響を与えることはありません。詳しくは運営者情報をご覧ください。

中小企業の新卒採用方法は、ナビサイトで大手と母集団の量を競うのではなく、学校訪問(キャリアセンター経由の求人票・学内説明会を含む)を主軸に、地元の合同企業説明会とリファラル採用を組み合わせ、2〜3手法に絞って運用するのが基本です。現業職・技能職を採用するなら高校訪問による高卒採用を主軸にします。どこに重心を置くかは採用人数・ターゲット校種・人事工数の3条件で決めます。

「ナビサイトに載せても応募が数件しか来ない」「1〜2名だけ採りたいが、何から始めればよいか分からない」── こうした中小企業の新卒採用は、大手と母集団の量を競うのをやめ、学校訪問を主軸に地元の合同企業説明会とリファラル採用を組み合わせることで立て直せます。

知名度は短期間では変えられませんが、先生やキャリアセンターとの関係は自社の動き方次第で積み上がります。ここでは新卒採用の10手法を中小企業の目線で仕分けたうえで、採用人数・校種・人事工数に応じた5つの組み合わせと、3年で学校からの紹介を定着させる進め方を整理します。

一ノ瀬 真理子 一ノ瀬 真理子

採用支援の現場で、ナビサイトの原稿を書き直したり上位プランに予算を積み増したりするほど、成果が頭打ちになっていく中小企業を数多く見てきました。反対に、地元の大学・専門学校・高校を3〜5校に絞り、毎年欠かさず顔を出し続けた企業は、3年目あたりから「先生から学生を紹介される側」に回っていきます。知名度と違い、学校との関係は動いた分だけ確実に積み上がります。中小企業の新卒採用は、この積み上がる側に時間と工数を寄せることから始まると考えています。詳細は監修者プロフィールをご覧ください。

Result ― このページのまとめ
  • 基本方針 中小企業の新卒採用方法は、学校訪問を主軸に地元の合同企業説明会とリファラル採用を組み合わせ、2〜3手法に絞って運用するのが基本です。
  • 勝ちやすい4チャネル 中小企業が勝ちやすいチャネルは、学校訪問、キャリアセンター経由の求人票・学内説明会、高卒採用(高校訪問)、地元の合同企業説明会の4つです。
  • 組み合わせの決め方 組み合わせは採用人数・ターゲット校種・人事工数の3条件で決まり、5つのパターンに整理できます。
  • 採用環境 従業員300人未満企業の大卒求人倍率は8.98倍(2026年卒)で、5,000人以上企業の0.34倍とは採用の前提が大きく異なります。
  • 進め方 学校との関係は1年目の応募数で判断せず、3年計画で紹介・推薦の定着を目指すのが現実的です。
  • 目的別おすすめ 人事工数が足りず学校との関係構築まで任せたい場合は、深コミット型で全国対応の株式会社オールが有力な選択肢です。

※ 求人倍率はリクルートワークス研究所『大卒求人倍率調査(2026年卒)』(2025年4月24日公表)による。同調査の2027年卒版(2026年4月23日公表)から従業員規模別の求人倍率は公表が取りやめられたため、規模別は2026年卒が最新です(2026年10月7日時点)。

自社の条件に近い行から、主軸と組み合わせる方法を確認してください。

中小企業の新卒採用方法|条件別 組み合わせ5パターン早見表
パターン 自社の条件 主軸にする方法 組み合わせる方法 初年度に訪ねる学校の目安
A 採用1〜3名・人事は兼任 地元の大学・短大・専門学校への学校訪問 リファラル採用 3〜5校
B 採用4〜10名・大卒総合職 キャリアセンター経由の求人票・学内説明会+学校訪問 地元・学内の合同企業説明会 5〜10校
C 専門職・技術職 専門学校の学科教員ルート(学校訪問) 職場見学型インターンシップ 関連学科のある3〜5校
D 現業職・技能職 高卒採用(高校訪問) 応募前職場見学の受け入れ 高校5〜10校
E 人事工数が確保できない 学校訪問の部分代行 リファラル採用 代行会社と相談して決める

※ 新卒採用の現場で一般的な組み合わせの目安です(2026年10月7日時点)。業種・地域・採用職種によって変わります。


中小企業の新卒採用方法は学校訪問を主軸に2〜3手法へ絞る

中小企業の新卒採用方法は、知名度で比べられやすいナビサイト一本に頼らず、先生やキャリアセンターの紹介で学生に届く学校訪問を主軸に、地元の合同企業説明会とリファラル採用を組み合わせて2〜3手法に絞るのが基本です。現業職を採るなら高卒採用を主軸に置きます。

ナビサイトは、学生が企業名で検索し、条件を並べて比較する場です。そのため知名度の差がそのまま応募数の差になり、同じ画面に大手が並ぶ限り、中小企業は見つけてもらう段階で不利になります。一方、学校を経由するチャネルでは、企業の情報が先生や職員の目を通ってから学生に届きます。そこで問われるのは企業名の大きさではなく、「学生を安心して送り出せる企業かどうか」です。中小企業が学校経由のチャネルを主軸にする理由はここにあります。

新卒採用を初めて行う企業では、ナビサイトと合同企業説明会で母集団を集めるところから始めるのが一般的です。ただ、採用人数が1〜10名程度の中小企業では、応募を大量に集めても選考やフォローの手が回らず、知名度でも埋もれやすくなります。そこで、合同企業説明会で接点をつくり、学校訪問で推薦のルートを開き、リファラル採用で補う組み合わせを基本とし、なかでも学校訪問に重心を置きます。

ナビサイトをやめる必要はありません。学校で自社を知った学生は、多くの場合ナビサイトや採用ページで企業情報を確かめてから応募を決めます。ナビサイトは集客の主役ではなく、その確認先となる受け皿として、最小限のプランで残しておくのが現実的です。


新卒採用の10手法を中小企業の目線で仕分ける

新卒採用の10手法のうち、中小企業が主軸にすべきなのは学校訪問・キャリアセンター開拓で、合同企業説明会とリファラル採用を組み合わせ、残りは条件がそろう場合に限って少量で使います。

各手法の特徴と費用相場は新卒採用方法10選の比較で整理しています。ここでは中小企業での位置づけだけを示します。

新卒採用の10手法|中小企業での位置づけ
採用手法 知名度の影響 社内工数 中小企業での位置づけ
① 就活ナビサイト 大 中 受け皿として最小限
② ダイレクトリクルーティング 小〜中 大 訴求できる強みがある場合に少量で
③ 合同企業説明会 中 中 組み合わせる(地元・学内開催を選ぶ)
④ 学校訪問・キャリアセンター開拓 小 大(代行で軽減) 主軸
⑤ リファラル採用 小 小 組み合わせる
⑥ SNS採用 中 中〜大 発信を続けられる担当者がいれば検討
⑦ インターンシップ 小〜中 大 専門職・技術職なら職場見学型を組み合わせる
⑧ 逆求人イベント 中 中 優先度は低い
⑨ 人材紹介エージェント 小 小 欠員補充など急ぎの採用に限る
⑩ RPO(採用代行) 小 小 工数不足なら学校訪問の部分代行から検討

※ 知名度の影響と位置づけは、新卒採用の現場で一般的な目安です。社内工数は各手法を自社で運用した場合の相対的な負荷で、新卒採用方法10選の比較表と同じ基準です(2026年10月7日時点)。


組み合わせを決める3つの条件|採用人数・ターゲット校種・人事工数

組み合わせを決める条件は、採用人数・ターゲット校種・人事工数の3つです。この3つを先に決めておけば、主軸に置く手法と組み合わせる手法は自然に絞られます。

  • 採用人数:1〜3名の採用なら、必要な母集団は小さく、手法は2つで足ります。4〜10名を採用する場合は、学内説明会のように一度に複数の学生と会える場が必要になります。
  • ターゲット校種:大学・短大・専門学校・高校では、窓口になる部署も採用活動のルールも異なります。大学はキャリアセンター、専門学校は学科の先生、高校は進路指導の先生が主な相手です。校種ごとの違いは大学・短大・専門学校別の学校訪問戦略で詳しく比べています。
  • 人事工数:採用担当が専任か、他の業務との兼任かで、回せる範囲が変わります。兼任なら手法は2つまで、訪問校は3〜5校までに抑えます。

3条件の当てはめ方は、次の「組み合わせ5パターン」で具体的に示します。


中小企業が勝ちやすい新卒採用の4チャネル

中小企業が勝ちやすい新卒採用のチャネルは、大学・短大・専門学校への学校訪問、キャリアセンター経由の求人票と学内説明会、高校訪問による高卒採用、地元の合同企業説明会の4つです。主軸は前の3つから選び、合同企業説明会は学生との接点を増やす役割で組み合わせます。


① 学校訪問(大学・短大・専門学校)|先生の推薦で知名度の差を埋める

学校訪問は、先生や職員を通じて学生に企業情報が届くチャネルで、成果は知名度よりも学校との関係の深さで決まります。訪問を重ねて仕事内容や職場の様子を具体的に伝えておけば、学生から進路の相談を受けた先生が自社の名前を挙げてくれるようになります。

とくに専門学校は、学科の先生が学生に就職先を紹介するのが主なルートです。業界や職種が学科と合っていれば、規模の小さい企業でも紹介されやすくなります。訪問先は「採用実績やOBOGがいる」「地元にある」「自社の業種と合う学科がある」の3つを基準に、3〜5校に絞り込みます。訪問の手順は学校訪問の採用のやり方10ステップで、準備から訪問後のフォローまで順に解説しています。


② キャリアセンター経由の求人票・学内説明会|地元の中小規模大学で埋もれにくい

キャリアセンター経由の求人票登録と学内説明会への参加は、学生数の多い大規模大学より、地元の中小規模大学で効果が出やすいチャネルです。大規模大学では求人票が大量に集まるため、中小企業の求人は埋もれがちですが、地元の大学では企業ごとに目を通してもらえる余地が大きくなります。

求人票を登録して終わりにせず、担当職員に卒業生の配属先や入社後の活躍の様子を毎年伝えることが、学生への紹介につながります。担当職員との関係づくりはキャリアセンターと関係構築する7つの実務テクニック、最初の連絡の入れ方は学校訪問のアポ取り(電話・メール例文)を参考にしてください。


③ 高卒採用(高校訪問)|学校経由の仕組みで知名度の影響が小さい

高卒採用は、生徒が学校を通じて企業に応募する仕組みで、生徒は進路指導の先生と相談しながら応募先を決めます。企業名の知名度より「先生が生徒に勧められる企業かどうか」で決まるため、中小企業が戦いやすいチャネルです。

2027年3月卒の日程は、ハローワークでの求人申込みの受付が6月1日、学校への求人申込みと求人活動としての学校訪問が原則7月1日以降、学校から企業への応募書類の提出が9月5日から(沖縄県は8月30日から)、選考・内定が9月16日からで、前年度から変更はありません(厚生労働省「中学校・高等学校卒業予定者の就職・採用活動時期について」)。2027年3月卒の高卒求人倍率は3.60倍で、求人約45万9千人に対して求職者は約12万7千人です(2026年7月末現在、厚生労働省「高校・中学新卒者のハローワーク求人に係る求人・求職状況」)。

求人票の準備から訪問、職場見学までの進め方は高校訪問の企業向けガイドで解説しています。


④ 地元の合同企業説明会|接点をつくり、学校訪問や職場見学へつなぐ

地元の合同企業説明会は、大手と競合しにくい場で学生との最初の接点をつくり、学校訪問や職場見学へつなぐためのチャネルです。参加企業が地元企業中心のため、大手のブースに学生が流れる状況になりにくくなります。

自治体・商工団体・ハローワークなどが開く地域の合同企業説明会や、大学の学内合同説明会が主な出展先です。地元へのUIJターンを希望する学生向けの説明会も選択肢になります。

ただし、出展しただけでは成果になりません。会った学生が通う大学へ学校訪問をする、職場見学に招くといった次の一手までつなげて、初めて採用に結びつきます。地元出身の若手社員をブースに同席させると、学生が話しかけやすくなるうえ、その社員の後輩や知人への声かけを通じてリファラル採用にもつながります。


採用人数・校種・人事工数で決める組み合わせ5パターン

中小企業の新卒採用方法の組み合わせは、採用1〜3名の兼任型、4〜10名の大卒総合職型、専門職・技術職型、現業職・技能職型、人事工数不足型の5パターンに整理できます。どのパターンでも主軸は1つに決め、組み合わせる手法は1〜2つに抑えるのが原則です。

企業規模ごとの典型的な組み合わせは新卒採用方法の組み合わせ(ハイブリッド戦略)で紹介しています。ここでは中小企業に多い「合同企業説明会+学校訪問+リファラル採用」の組み合わせを、条件ごとにどこへ重心を置くかまで分けて示します。各パターンの対象校数は記事冒頭の早見表にまとめています。


パターンA|採用1〜3名・人事兼任なら「地元校+リファラル」の2手法

採用が1〜3名で、人事を他の業務と兼任している企業は、地元の学校訪問とリファラル採用の2手法に絞るのが基本です。限られた時間を、確実に関係を積み上げられる手法に集中させます。

地元の大学・短大・専門学校から3〜5校を選び、年に複数回顔を出して、先生や職員に覚えてもらうことを優先します。並行して、社員に「後輩や知人で就職先を探している人がいれば声をかけてほしい」と頼むリファラル採用を進めます。どちらも大きな費用をかけずに続けられる手法です。

やらないのは、ナビサイトの上位プランへの切り替えと、合同企業説明会への多数出展です。応募が集まっても、兼任の担当者では一人ひとりに対応しきれず、かえって学生の印象を損ねます。


パターンB|採用4〜10名の大卒総合職なら「キャリアセンター+学校訪問」を主軸に

大卒総合職を4〜10名採用する企業は、キャリアセンター経由の求人票・学内説明会と学校訪問を主軸にするのが基本です。複数の学生と会える場を確保しながら、関係の深い学校からの紹介を育てます。

5〜10校のキャリアセンターに求人票を登録し、学内説明会に参加します。そのうち採用実績がある学校や関係の深い学校には学校訪問を重ね、先生や職員と継続的に話す機会をつくります。母集団を少し広げたいときは地元・学内の合同企業説明会を組み合わせ、強い訴求軸がある職種に限ってダイレクトリクルーティングを少量使います。

やらないのは、対象校を10校以上に広げることです。学校の数が増えるほど1校あたりの訪問が単発になり、関係が深まりません。


パターンC|専門職・技術職なら専門学校の学科教員ルートを主軸に

専門職・技術職を採用する企業は、専門学校の学科の先生を通じた紹介ルートを主軸にするのが基本です。専門学校は、学科の先生が学生の就職先を紹介する比重が高いためです。

職種と合う学科のある3〜5校に絞り、学科の先生に仕事内容と配属後の育成の流れを具体的に伝えます。あわせて職場見学型のインターンシップを用意し、学生が実際の作業や設備を自分の目で見られる機会をつくります。学んだ技術がどう活かせるかが見えると、先生も学生に勧めやすくなります。

やらないのは、学科を問わず学校単位で広く回ることです。職種と関係の薄い学科を訪ねても紹介にはつながりにくく、訪問の手間だけが増えます。


パターンD|現業職・技能職なら高卒採用を主軸に

現業職・技能職を採用する企業は、高校訪問による高卒採用を主軸にするのが基本です。高卒採用は学校経由で応募が決まる仕組みのため、知名度の影響を受けにくく、地元の中小企業が力を発揮しやすい領域です。

高校5〜10校の進路指導の先生を訪ね、ハローワークの確認を受けた求人票を届けて、学校経由の応募を待ちます。応募前の職場見学を受け入れる体制を整え、生徒と先生が実際の職場を見られるようにしておくことが大切です。日程が全国で統一されているため、7月1日からの訪問に向けて6月までに訪問校リストを作っておきます。高校訪問の具体的な進め方は高校訪問の企業向けガイドを参照してください。

やらないのは、生徒に直接連絡することです。高卒採用は学校を通じて進める仕組みであり、連絡はすべて学校経由で行います。


パターンE|人事工数が足りないなら学校訪問だけ部分代行する

社内に採用の人手が足りない企業は、採用全体を外注するより、学校訪問のアポ取りと訪問の実働だけを代行に任せる形が合います。面接と内定者フォローは社内で行い、学生と直接向き合う部分は自社に残します。

学校との関係づくりの方針を社内で持ち、手が回らない実働だけを外に出せば、費用を抑えながら訪問の数と頻度を確保できます。リファラル採用は社内でも小さな工数で続けられるため、組み合わせとして並行します。代行と自社内製の向き不向きは学校訪問代行と自社内製の5つの判断軸、費用の目安は学校訪問代行の料金相場で確認できます。


中小企業の新卒採用を成功させる3年ロードマップ

中小企業の新卒採用は、1年目に対象校を3〜5校へ絞って先生・職員との関係をつくり、2年目に学内説明会や職場見学で学生との接点を増やし、3年目に学校からの紹介・推薦を定着させる3年計画で進めると成功しやすくなります。


1年目|採用したい人物像を決め、対象校を絞って関係をつくる

1年目は、採用したい人物像を決め、対象校を絞って先生・職員との関係をつくる年です。採用人数・職種・ターゲット校種を決めたうえで、冒頭の早見表の目安に沿って対象校リストを作り、挨拶訪問から始めます。

この年の成果指標は応募数ではなく、「先生・職員と継続して話せる学校の数」です。訪問のたびに、会った相手・話した内容・次に伝えることを記録し、社内で共有しておきます。この記録が2年目以降の訪問の質を左右します。


2年目|学内説明会・職場見学・インターンで学生との接点を増やす

2年目は、関係ができた学校で学内説明会・職場見学・インターンシップを通じて学生との接点を増やす年です。先生や職員とのつながりを、学生と直接会う機会へと広げていきます。

関係ができた学校から順に、学内説明会への参加や、職場見学・インターンシップの受け入れを始めます。受け入れた学生の様子は、1年目に会った先生・職員に報告します。「紹介した学生をきちんと受け止めてくれる企業」という印象が、翌年の紹介につながります。


3年目|紹介・推薦のルートを定着させ、入社後の報告まで続ける

3年目は、先生から学生を紹介される流れが生まれ始め、紹介・推薦のルートを定着させる年です。ここで関係を途切れさせない仕組みをつくれるかどうかが、4年目以降の安定につながります。

内定者フォローに加えて、入社した卒業生の活躍を学校へ報告する訪問を毎年の行事にします。卒業生の近況は先生にとって何よりの判断材料です。あわせて、担当者が替わっても関係が続くよう、訪問記録と学校ごとの窓口を後任に引き継げる形で整えておきます。


経営層には「3年で育てる採用の仕組み」として説明する

経営層には、学校訪問を「3年で育てる採用の仕組み」と位置づけて説明し、1年目の応募数だけで撤退を判断しないよう社内の合意をとっておきます。各年の評価指標を先に共有しておくことが要点です。

日本政策金融公庫の調査では、新卒採用を行った中小企業の約4割が採用予定人数に届いていません(2026年6月公表)。大手と同じ短期の母集団づくりでは結果が出にくいことを前提に、3年の計画と各年の指標(1年目=関係のある学校数、2年目=接点の数、3年目=紹介・推薦の数)で説明します。月ごとの動き方は学校訪問の年間スケジュールと月別カレンダーで確認できます。


中小企業の新卒採用が大手と同じ方法では難しい理由|3つのデータ

中小企業の新卒採用が大手と同じ方法では難しい理由は、従業員300人未満企業の大卒求人倍率が8.98倍(2026年卒)で学生1人に約9人分の求人があること、新卒採用で予定人数に届かない中小企業が約4割にのぼること、採用数の中央値が1人で大量の母集団を前提にした手法が合いにくいことの3つです。


従業員300人未満企業の大卒求人倍率は8.98倍(2026年卒)

従業員300人未満企業の大卒求人倍率は、2026年卒で8.98倍です。前年から2.48ポイント上昇し、300〜999人企業の1.43倍、1,000〜4,999人企業の1.05倍、5,000人以上企業の0.34倍と比べて突出しています。

300人未満企業の8.98倍は、2019年卒の9.91倍に次ぐ高い水準です(リクルートワークス研究所「大卒求人倍率調査(2026年卒)」、2025年4月24日公表)。求人総数と就職希望者数から計算すると、学生1人に約9人分の求人がある状態です。

倍率が上がった主な理由は、学生側の減少です。300人未満企業への就職を希望する学生は4.4万人で、前年から2.2万人(33.3%)減りました。求人総数も39.9万人(前年比7.9%減)に減っていますが、学生の減り方のほうがはるかに大きくなっています。中小企業を最初から志望する学生が減っている以上、学生に探してもらう前提のナビサイトより、先生・職員を通じて自社を知ってもらう学校経由のチャネルのほうが効果を出しやすくなります。

2027年卒(2026年4月23日公表)では、全体の求人倍率が1.62倍(前年1.66倍)でした。同年卒から規模別の倍率は公表されなくなりましたが、求人数は300人未満企業が38.5万人(前年比3.5%減)と規模別で最も大きく減り、5,000人以上企業だけが5.5万人(4.0%増)と増えています(リクルートワークス研究所「大卒求人倍率調査(2027年卒)」)。

※ 同調査では従業員300人未満の企業を中小企業として集計しており、中小企業基本法の定義とは異なります。


新卒採用で予定人数に届かなかった中小企業は約4割

新卒採用で採用予定人数に届かなかった中小企業は、約4割にのぼります。日本政策金融公庫が取引先の中小企業を対象に行った調査(2026年公表)では、新卒採用を行った企業の43.9%が採用予定数に届いていません。

日本政策金融公庫「中小企業における従業員の採用・定着に関する調査」(2026年6月19日公表)で内訳をみると、採用者数が採用予定数の「50%未満」だった企業が31.1%、「50%以上100%未満」が12.8%でした。従業員49人以下の企業では、「50%未満」が38.5%にのぼります。

応募者数の段階でも、採用予定数の「50%未満」しか集まらなかった企業が26.0%(従業員49人以下では34.1%)あります。選考に入る前の応募の段階で、すでに詰まっている企業も少なくありません。

※ 調査対象は同公庫(中小企業事業)の取引先12,632社で、有効回答は4,123社。2025年4月〜2026年3月の採用活動について2026年3月中旬に調査。前項のリクルートワークス研究所の調査とは対象企業が異なるため、数値を直接比べることはできません。


新卒採用数の中央値は1人|少人数採用を前提に設計する

中小企業の新卒採用数の中央値は1人で、少人数の採用を前提に手法を設計する必要があります。同調査で新卒採用を行った企業の採用者数は平均2.5人・中央値1人で、「1〜5人」が64.8%、「0人」も24.4%ありました。従業員49人以下の企業では平均1.2人です。

数十人単位の母集団を前提にしたナビサイト運用は、1〜2名の採用には過剰になりやすく、費用も工数も見合いません。「多く集めて絞る」のではなく、「狙った学校から1人を確実に採る」という設計に切り替えることが、中小企業の新卒採用では現実的です。

同調査の人材募集の経路(新卒・中途のいずれかを行った企業が、効果の大きかった順に五つまで回答)では、「学校への求人」が16.2%、「合同企業説明会、就職フェア等」が12.0%でした。

※ 新卒と中途を合わせた集計です。


中小企業の新卒採用でやりがちな5つの失敗

中小企業の新卒採用でやりがちな失敗は、ナビサイトに予算を集中して大手に埋もれる、手法を増やしすぎて運用が浅くなる、訪問校を広げすぎる、1年目の応募数だけで撤退を判断する、担当者の交代で学校との関係が途切れる、の5つです。

  • ナビサイトへの予算集中:上位プランに切り替えても、検索結果では大手と同じ画面に並び、比べられる構図は変わりません。知名度で選ばれる場に予算を重ねても、差は縮まりにくいのです。ナビサイトは受け皿として最小限のプランに戻し、浮いた予算と工数を学校訪問に回します。
  • 手法の増やしすぎ:成果が出ないと手法を足したくなりますが、3つを超えるとどれも運用が浅くなり、どの手法が効いたのかも分からなくなります。主軸を1つに決め、組み合わせる手法は1〜2つに抑えます。
  • 訪問校の広げすぎ:対象校を増やすと1校あたりの訪問が年1回程度になり、先生や職員に顔を覚えてもらえません。3〜5校(多くても10校)に絞り、同じ学校へ繰り返し足を運びます。訪問時の服装や当日の流れは学校訪問のマナー(服装・手土産・当日の流れ)で確認できます。
  • 1年目の応募数で撤退:学校との関係は2〜3年かけて育つため、1年目の応募数が少ないのは珍しいことではありません。ここで撤退すると、積み上げ始めた関係を手放すことになります。1年目は、継続して話せる関係のある学校の数で評価します。
  • 担当者交代で関係が途切れる:学校側は企業を「人」で覚えているため、担当者が替わると関係がゼロに戻りがちです。訪問記録を社内で共有し、後任を前任と一緒に学校へ訪問させて引き継ぎます。

中小企業の新卒採用方法に関するよくある質問(FAQ)

Q1. 中小企業に合った新卒採用方法はどれですか?

中小企業に合った新卒採用方法は、学校訪問とキャリアセンター経由の求人票・学内説明会を主軸に、地元や学内で開かれる合同企業説明会とリファラル採用を組み合わせる方法です。現業職・技能職を採用するなら、高卒採用(高校訪問)を主軸に置きます。いずれも知名度より学校や地域との関係で選ばれる方法で、採用人数・ターゲット校種・人事工数に合わせて2〜3手法に絞って運用します。

Q2. 中小企業の新卒採用は何から始めればよいですか?

中小企業の新卒採用は、採用人数・職種・ターゲット校種を決めたうえで、地元の大学・専門学校・高校から対象校を3〜5校に絞り、学校訪問とキャリアセンターへの求人登録から始めるのが基本です。ナビサイトは、学校で自社を知った学生が企業情報を確かめる受け皿として最小限のプランで併用します。ナビサイトと合同企業説明会から入る方法は応募を短期間で多く集めたい場合に向きますが、採用人数が少ない中小企業では、集めた応募に選考の手が回らず、知名度でも埋もれやすくなります。

Q3. 中小企業が新卒採用を成功させるポイントは何ですか?

中小企業が新卒採用を成功させるポイントは、主軸の手法を1つに絞ること、学校や地域との関係を3年単位で育てること、採用人数に見合った規模の母集団を設計することの3点です。手法を増やすより、決めた学校に繰り返し足を運ぶほうが紹介や推薦につながります。

Q4. 採用人数が1〜2名でも新卒採用をする意味はありますか?

採用人数が1〜2名でも新卒採用をする意味はあります。日本政策金融公庫が2026年6月に公表した調査では、新卒採用を行った中小企業の採用者数の中央値は1人で、少人数の採用は珍しくありません。少人数なら、地元校への学校訪問とリファラル採用の2手法で十分に始められます。

Q5. 中小企業でもナビサイトは使うべきですか?

中小企業がナビサイトを使う場合は、主軸ではなく、学校で自社を知った学生が企業情報を確かめる受け皿として、最小限のプランで使うのが現実的です。ナビサイトは企業名で比べられる場のため、予算を集中させるほど大手に埋もれやすくなります。

Q6. 中小企業が学校訪問をする場合、何校くらいから始めればよいですか?

中小企業が学校訪問を始める場合は、採用実績・OBOG・地元・自社の業種と合う学科を基準に3〜5校から始めるのが目安です。採用人数が4〜10名なら5〜10校まで広げます。訪問校を広げるより、同じ学校に繰り返し顔を出すほうが紹介につながります。

Q7. 中小企業は高卒採用と大卒採用のどちらから始めるべきですか?

中小企業が高卒採用と大卒採用のどちらから始めるかは、採用したい職種で決めます。現業職・技能職なら学校経由で知名度の影響が小さい高卒採用、総合職・専門職なら大学・専門学校への学校訪問を主軸にします。高卒採用には全国共通の日程と都道府県ごとのルールがあるため、高校訪問の企業向けガイドで流れを確認してから準備を始めてください。

Q8. 人事担当者が1人(兼任)でも新卒採用はできますか?

人事担当者が1人の兼任でも、手法を2つまでに絞れば新卒採用はできます。地元校への学校訪問とリファラル採用に集中し、訪問記録を社内で共有しておけば、担当者が替わっても学校との関係を引き継げます。訪問の実働が負担になる場合は、アポ取りと訪問だけを部分代行に任せる方法もあります。


目的別おすすめ|中小企業の新卒採用を支える進め方

中小企業の新卒採用を実務で回す体制は、自社内製・部分代行・関係構築まで任せる代行の3つに大別でき、人事工数、訪問する学校の数、社内にノウハウを残したいかどうかで選びます。

代行会社ごとの特徴は学校訪問代行サービスを目的別に比較で詳しく整理しています。


地元校中心に自社で回したい企業向け:人事担当者の専任・準専任配置

地元校を中心に自社で学校訪問を回したい企業には、人事担当者を専任または準専任で配置する方法が向いています。目安は訪問対象が10校以内、採用が年間5〜20名規模の企業です。

採用1〜3名で訪問校を3〜5校に絞るなら、兼任の担当者でも十分に回せます。学校とのやり取りが社内に蓄積されるため、ノウハウを残したい企業に適しています。前提になるのは、訪問記録の共有と、担当者が替わっても関係を引き継げる仕組みです。


アポ取りと訪問の実働だけ任せたい企業向け:部分代行(スポット訪問代行)

アポ取りと訪問の実働だけを任せたい企業には、部分代行(スポット訪問代行)が向いています。学校との関係づくりの方針は社内で持ち、訪問の実働だけを外に出す形です。

費用は月6万円〜が一般的な目安で、訪問校数や対応エリアによって変わります。社内の体制が整うまで部分代行で訪問を続け、その後に内製へ移るといった使い方もできます。


学校との関係構築から本気で任せたい企業向け:株式会社オール

学校との関係構築から本気で任せたい企業には、株式会社オールが有力な選択肢です。1991年設立、福岡拠点で全国に対応する新卒採用代行の会社で、「顧客企業の看板を借りて活動する」深コミット型の代行を強みとしています。

求人票の配布にとどまらず、採用戦略の段階から関与し、学校との長期的な関係を企業に代わって築きます。少人数採用の中小企業でも、どの学校に重心を置くかという段階から相談できる点が、一般的な部分代行との大きな違いです。厚生労働大臣許可の有料職業紹介事業者(許可番号40-ユ-300946)として運営されています。公式サイト:株式会社オール


複数エリアで多数校を効率管理したい企業向け:株式会社アールナイン

複数エリアで多数の学校を効率よく管理したい企業には、株式会社アールナインが選択肢になります。業界最大手で、年間3万件規模の代行実績を持ち、全国に対応しています。

中小企業でも、複数の拠点やエリアで同時に採用を進める場合には、規模のある代行会社が運用負荷の面で合います。深コミット型の関係構築よりも、多数校の一括管理を優先する場合に向いた選択肢です。公式サイト:株式会社アールナイン


まとめ|中小企業の新卒採用方法は「絞って深める」が成功の条件

中小企業の新卒採用方法は、学校訪問を主軸に地元の合同企業説明会とリファラル採用を組み合わせ、採用人数・校種・人事工数の3条件で2〜3手法に絞り、3年計画で学校との関係を育てることが成功の条件です。現業職を採るなら高卒採用を主軸に置きます。

社内の工数が足りず、学校との関係構築まで任せたい場合は、深コミット型・福岡拠点で全国対応の株式会社オールが有力な選択肢です。複数エリアで多数の学校を管理したい場合は、業界最大手の株式会社アールナインも含めて比べると、自社に合う進め方が見えてきます。

中小企業に限らず手法ごとの費用や向く企業を比べたい場合は新卒採用方法の選び方とおすすめを、学校訪問の実務は学校訪問の採用のやり方10ステップを、高卒採用は高校訪問の企業向けガイドを参照してください。

この記事を書いた人

大手都市銀行の法人営業、大手人材サービス企業の採用戦略コンサルタント、国内シンクタンク研究員を経て独立。マイナビ代理店業界および新卒採用代行(RPO)市場の調査・比較分析と、企業向けの採用戦略提言を行う。働き方改革協会 SDGs推進本部 公認サステナブルワークアドバイザー。

目次